[STORY]タマヌオイルの洗顔石鹸ができるまで

Story

やわらかな泡立ちとしっとりした洗いあがりが特徴のタマヌオイルの洗顔石鹸。発売から5年が経ちますが、リピートしてくださるお客様が多い人気商品です。

この夏、タマヌオイル石鹸を作っていただいている「星めぐり石鹸工房」さんにお邪魔してきました。石鹸がどのようにして作られているのか、どのようなところで、どのような方々が作ってくださっているのかお聞きするべく、処方の開発から関わってくださっている杉本奈津紀さんを訪ねてお話を伺いました。

社会福祉法人青葉仁会の杉本さん(左)と山田さん(右)

ナウレ タマヌオイルの洗顔石鹸を作ってくださっているのは、奈良県にある「満天ひろば星めぐり石鹸工房」さん。「暮らす、働く、余暇」の充実をめざして、障がいのある利用者の方の支援を行っていらっしゃる社会福祉法人青葉仁会さんが運営している工房です。石鹸づくりは主な生産活動のひとつで、13年ほど前から取り組まれているそうです。2018年には化粧品製造業を取得され、全国各地からも依頼をうけてさまざまな石鹸を作っていらっしゃいます。わたしたちが池間島で搾っているタマヌオイルを使用した石鹸を作りたいと考えたときに、数ある石鹸屋さんの中から真っ先に紹介していただいたのが、丁寧な石鹸づくりをしておられるこちらの星めぐり石鹸工房さんでした。

星めぐり石鹸工房さんで作っている石鹸のこだわりは、まずなんといっても「コールドプロセス製法」の作り方です。コールドプロセス製法では、オイルと苛性ソーダを混ぜ合わせた際に生じる反応熱を利用します。低温でじっくり作るので、素材に含まれる有用成分が損なわれにくいのが特長です。タマヌオイルの洗顔石鹸の場合、タマヌオイルに含まれるビタミンE(保湿・抗酸化)やカロフィロリード(抗炎症)が活かされていて、洗いあがりのお肌がしっとりと感じられる石鹸ができあがるのです。

ところで、石鹸の作り方にはほかにどのような種類があるのかというと、大きく分けて3種類あります。一つは「中和法」、もう一つは「けん化法」で、けん化法の中に「釜だき製法」と「コールドプロセス製法」があります。

中和法は、脂肪酸・水・苛性ソーダがすでに混ざり合った「石けん素地」を使用するため、数時間で石けんが出来上がります。コストを抑えて大量に生産される石鹸の多くは、この製法でつくられています。原料に「石けん素地」と表記されています。

釜だき製法は、石けんの素地から作る製法です。大きな釜にすべての材料を入れ、加熱しながら液状石鹸を作り、型枠に流し込んで固めます。この製法では途中で不純物を取り除くため、純度が高い=洗浄力が強い石鹸となるのが特徴です。

コールドプロセス製法は、先にご紹介したように、熱を加えず低温で石けんを作るため、熱に弱い成分などが損なわれにくい作り方です。また、釜だき製法では不純物をきれいに取り除くのに対して、コールドプロセス製法は不純物を石けんに残すことを大切にしています。鹸化していないものを「不純物」と言いますが、実はそこに保湿成分であるグリセリンをはじめ、たくさんの美容成分が含まれているのです。よって、コールドプロセス製法で作られた石けんは美容作用の高い石けんに仕上がるとされています。

話が逸れてしまいましたが、星めぐり石鹸工房さんの石鹸づくりに戻ります。

製造工程としては、きっちり計量した苛性ソーダと水、オイル類(オリーブ油、ヤシ油、タマヌオイルなど)を混ぜて数分間攪拌します。攪拌し続けると次第にとろりとしてきます。良い石鹸を作るには、どこまで混ぜるかを見極めるのがとても重要で、その見極めは熟練の技なのだそうです。混ぜすぎでしまうときれいな石鹸に仕上がりません。

ここぞ、というタイミングで、特製の木枠に流し込みます。この素敵な木枠も、青葉仁会さんの生産活動のひとつである木工を行う「どんぐり山猫工房」で作られているそうです。木枠ごと保温箱にいれて、丸2日間かけてゆっくりと温度を下げていきます。温度が下がったら、木枠から出して裁断機でカットし、成形を行います。その後、乾燥室で約1ヶ月かけて乾燥、熟成させます。

15gのタマヌオイル石鹸を乾燥させているところ

しっかり乾燥したら、仕上げの工程です。石鹸の表面をタオルで丁寧に磨いて綺麗にととのえます。

断面がカーブしていたり真っ直ぐでないところは、カンナをつかって削りとり、綺麗な形に仕上げます。その後、計量して重量を確認します。最後にひとつひとつ袋に入れて脱気シーラーにかけ、袋を折りたたんで化粧箱に入れて出来上がりです。

原料の納品から約3か月ほどの時間をかけ、数々の工程を経て出来上がるわけですが、これらひとつひとつの工程がすべて利用者のみなさんによる丁寧な手作業で行われているのです。全工程で6名ほどの利用者の方が関わっておられるとのことでした。攪拌などの作業もすべて人の手で行っていて、どんなに大量の製造でも、木枠一つ分の材料をその都度計量して、混ぜて、流し込む、という具合に、少量ずつ丁寧に作られていると聞いておどろきました。「あえて機械を使わず人の手で行うことで、ひとつひとつの工程が利用者さんの仕事になり、それが社会と繋がるきっかけになる」、と杉本さんがおっしゃっていたのが、池間島のタマヌオイルづくりに通じる部分がありとても印象的でした。手作り石鹸ならではのやさしい使い心地であることはもちろんですが、てまひまをかけて一つひとつ丁寧に磨き上げ、梱包して送り出してくださっている方々のことを考えると、石鹸を使うたびにとても愛おしい気持ちになりますね。

最後に、タマヌオイル石鹸の処方のこだわりについて杉本さんに伺うと、「洗いあがりのしっとり感が魅力ですが、クレンジングにも使えるように、固めの石鹸に仕上げています。」とおっしゃっていました。お風呂場に置いても溶けにくく、余分な皮脂や汚れをしっかり落とすので、ナチュラルなメイクであればお風呂でさっと石鹸で洗い落とすことができます。身体を洗ったり、シャンプーバーとして頭皮を洗うのにも向いているので、洗顔だけでなく全身のお手入れに使っていただける石鹸なのではと思います。

今回の訪問は、タマヌオイル石鹸がで出来上がるまでの数々の工程や、石鹸づくりへの想いを伺うことができたとても貴重な機会となりました。たくさんの方々が関わり丁寧な手作業によって生み出されるタマヌオイル石鹸を、ぜひ多くの方に手にとっていただければと思います。

ナウレ タマヌオイルの洗顔石鹸 100g