社会によいことSocial good

小さな渦の最初の回転

わたしたちがタマヌオイルを作る背景には、解決したいさまざまな課題があります。

海をよく知る島のオジイ方は、「以前はサバニ(小舟)が沈むほど魚が釣れたよ」と昔を懐かしみつつ海の変化を憂えています。過疎高齢化が進む島では、祭祀や行事、お互いの助け合いも難しくなり、仕事を求めて若い人たちは島を出ていきます。高校進学で島をでる若者は「この島にはなにもない」と言います。おそらく全国の農村漁村で進行している問題です。

わたしたちは、この島で地域づくりの仕事をさせていただいたおかげで、切実な島の課題が見えてきました。島の誇りである豊かな海や島の自然環境が持続的でないこと、だれ一人取り残さない地域社会を実現するための具体的な仕組みが存在しないこと、未来を担う子どもたちが広い視野と自らの足元を学ぶ機会が不足していることなどです。

わたしたちのタマヌオイルは小さな渦の最初の回転です。ぐるぐると廻りながらこれらの課題と向き合い、島の自然を豊かに、島の暮らしを元気にしていく仕組みをつくりたいと考えています。

“やわらかな”モノづくり

私たちのタマヌオイルは、自然落下した種子を拾うだけなので既存の資源に負荷をかけません。機械化せずに人の手で殻を割り、一粒一粒ハンドピッキングで選別します。乾燥は、太陽と風の力で自然乾燥を行い、機械は最小限の利用しかないため電力の消費(CO2排出量)を抑制しています。また、器具類の洗浄時などに合成洗剤を使用しない、割った殻や搾り滓などは、全て畑や植樹地で防草資材や肥料として活用して廃棄物をださない、そういった、小さな資源循環のなかに組み込まれたモノづくりです。つまり、ビジネス的には非常に効率の悪いシステムです。

しかし、この「すこしずつ」「ゆっくり」しか作ることができない丁寧さ、やわらかさこそ、わたしたちのオイルの最大の特徴となっています。そして、このタマヌオイルの製造・販売を通じて得られた利益が、3つの社会的なの課題に再投資されます。

働き世代が島を出ていくと、島の行事やとなり近所の助け合いも難しくなっていきます。足腰が弱って畑に出られなくなったオバアたち、傷病等様々な事情で現金収入が少ない人々、不安定な職種の人々の暮らしは、より厳しいものへとなっていきます。社会との関わり、経済力、自尊心といったものが支える「自立した暮らし」を続けていくためには、たくさんの「ちいさな仕事」を創り出すことが必要でした。

島の暮らしへ

小さな仕事づくり

島の自然へ

コモンズの森作り

自治会など島の主だった団体と連携して、長く放置された海岸沿いの共有地にテリハボクを植林し、「ヤラブの森」づくりを続けています。この近辺の海岸林は、琉球列島の伝統的な“海垣”=防風防潮林の名残りで、農地や集落を守ると同時に、海の豊かな環境を支える大きな役割をもっています。そして、この森が育てばタマヌオイルの原料となる種子の共同採取地として、島のコモンズの再生にもつながるのです。

島の中学生たちは、将来、自分が島に住むことを想像できない、島にはなにもない、と言います。“なにもない”という思い込みやあきらめは、むしろ“知らない”ことが要因かもしれません。自分たちが何によって生かされてきたのか、島の“あたりまえ”の景色の意味を知ること、そこから自分と島の未来を展望するような学び(ESD)を授業のなかで実現できるよう、島の小中学校でお手伝いをさせて頂いています。

島の学びへ

Education for
sustainable development