島の学びへーEducation for sustainable development

Story

離島の少人数併置校である池間小中学校は、中学生が11名。少人数ゆえみんなが兄弟のように仲良く学べる利点もありますが、都心の教育機関に比べ、教育の資源や機会はどうしても限られてしまいます。

2019年に実施した中学生へのアンケートでは、10年後も池間島に住んでいると答えた生徒は0人でした。なぜ、自分たちは将来この島に住むことを想像できなかったのか?住む場所がない、生活に不便だから、仕事がないから。では、「島に仕事をつくる」にはどうするか?生徒たちは、なにかを作って商売するのは無理だと答えます。なぜなら「島にはなにもないから」。大人たちには、「島にはなにもない」という言葉が「自分にはなにもない」と言っているように聞こえてしまいます。

2017年から総合学習コーディネートとして池間小中学校で授業をさせていただいてきました。授業は一貫して“足元を掘る”ことからはじめます。自分たちが何によって生かされてきたのか、“あたりまえ”の景色の意味を知ることから自分たちの未来、島の未来を展望するような学び(近年このような取り組みはESD=Education for sustainable developmentと呼ばれています)ができるよう試行錯誤しています。自分たちが島で暮らしていくために必要なことは何かと島の可能性を探っていく中で、いくつもの新素材が見いだされました(2020年にはその商品化の実証も行われています)。このような新たな希望の種を見つけ出すことが、「なにもない」との思い込みやあきらめを変えていく一助になってくれると考えています。


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